査定カフェ

保険会社の新契約引受査定者と保険金等支払査定者にとって役立つ医学・医療・保険医学関係の
サイトを集めてみました。生命保険業界歴25年の経験から査定医牧野がお勧めするサイト集です。
お役にたれてば幸いです。この査定カフェで一息いれてくださいませ。
また、ご意見・ご感想をお寄せください。

ある生命保険会社における2018年末から2019年2月までの「ビジュアルノート勉強会」も無事終了しました。私からの提案で、この書籍等に基づいて通年の医学知識研修を月1回のペースで実施する運びとなりました。もちろん話の主体は、引受査定の話をしています。毎月1000件のメールによる査定照会を回答している経験からの暗黙知をお伝えしようとするものです。もしかしたら来年度はオープンセミナーの実施となるかもしれませんね。

日本アンダーライティング協会資格試験に対応する「ビジュアルノート勉強会」について、2017年の研修は生命保険会社3社で研修講師をすることになりそうです。2018年2月まで私の頭はフル回転しそうです。医務査定の現場の話も交えて引受査定の基礎知識についてもお話しする予定です。

一般社団法人日本アンダーライティング協会の日本アンダーライティング協会資格試験の期日が迫っています。当該資格試験の指定テキストの1冊がこの本ですね。第2の手塚治虫と言われている茨木先生のイラストが光る本です。改訂を重ねて第5版(2016年9月)となりました。今回の資格試験から、上級も本書籍が指定図書となったとの噂を聞きました。少なくとも初級と中級を受験される査定者の方は必読の書のようです。ある生命保険会社から頼まれて、この本を6回で復習する研修を担当しています。講師としては全員が合格されることを祈ってます。

ビジュアルノート (第5版)
メディックメディア
2016-09-07


人格障害すなわちパーソナリティ障害の精神疾患の診断・統計マニュアル第5版(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition; DSM-5)による全般的診断基準は次のとおりです。

A. その人の属する文化から期待されるものから著しく偏った、内的体験および行動の持続的様式。この様式は以下の領域の2つ以上の領域に現れる。
 (1)認知(すなわち、自己、他者、および出来事を知覚し解釈する仕方)
 (2)感情性(すなわち、情動反応の範囲、強さ、不安定性、および適切さ)
 (3)対人関係機能
 (4)衝動の制御

B. その持続的様式は柔軟性がなく、個人的および社会的状況の幅広い範囲に広がっている。

C.その持続的様式が、臨床的に意味のある著しい苦痛または、社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

D.その様式は安定し、長時間続いており、その始まりは少なくとも青年期または成人期早期にまでさかのぼることができる。

E.その持続的様式は、他の精神疾患の表れ、またはその結果ではうまく説明されない。

F. その様式は安定し、物質(例:乱用薬物、医薬品)または他の医学的疾患(例:頭部外傷)の直接的な生理的作用によるものではない。

DSM-5では、人格障害すなわちパーソナリティ障害のタイプについて10種類を挙げています。加齢とともに軽減または消失する傾向があるタイプ(例、反社会性、境界性)もあれば、そうなる可能性の低いタイプ(例、強迫性、統合失調型)もあります。

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がん治療中に脳梗塞を起こすことがあります。これをトルーソー(Trousseau)症候群とよびます。悪性腫瘍に伴う血液凝固亢進が原因です。傍腫瘍性神経症候群の1つと考えられています。脳組織は血液凝固の外因系の引金となるトロンボプラスチンが豊富で、トロンビンの拮抗因子であるトロンボモデュリンが乏しいため播種性血管内凝固症候群の標的臓器となります。脳梗塞の成因の多くは、DICに併発した非細菌性血栓性心内膜炎による心原性脳塞栓症です。固形がんに過剰発現している組織因子は凝固カスケードを活性化するのみならず、癌の成長、血管新生、転移を促進することが知られています。すなわち、がんを原因としたDICとMOFが起きている状態と思います。

糖尿病治療ガイド編集委員会による「糖尿病治療ガイド2018-2019」が発行されています。今回の改訂では、本学会の出版物ならびに他の学会のガイドラインとの整合性を図るため、①日本糖尿病学会と日本老年医学会が合同で新たに策定した「高齢者糖尿病治療ガイド2018」の記載に合わせて、高齢者糖尿病についての解説を充実させた、②脂質管理目標値に変更、③糖尿病神経障害の簡易診断基準を追加、④わが国における大規模臨床試験である「糖尿病予防のための戦略研究(Japan Diabetes Outcome Intervention Trial:J‒DOIT)」を追加したようです。新契約の引受査定者にとっては、糖尿病の病態生理と血糖値コントロールの評価などを復習するのに役立つでしょう。


糖尿病治療ガイド2018-2019
日本糖尿病学会
文光堂
2018-05-17



1.糖尿病 疾患の考え方
 A.糖尿病とは
 B.糖尿病に関する指標
   1.平均血糖値を反映する指標
   COLUMN HbA1cの国際標準化に伴う表記法の変更
   2.インスリン分泌能の指標
   3.インスリン抵抗性の指標
   4.脂質代謝の指標
 C.糖尿病の分類
  1.糖尿病の成因分類
  2.糖尿病における成因(発症機序)と病態(病期)
2.診 断
 A.病歴聴取の注意点
  1.現病歴
  2.既往歴
  3.家族歴
  4.治療歴
  5.病気に関する知識と生活歴
 B.身体所見のポイント
  1.皮 膚
  2.眼
  3.口 腔
  4.下 肢
  5.神経系
 C.診断のための検査
  1.糖代謝異常の判定区分と判定基準
  2.75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)
 D.糖尿病の診断
 E.境界型とメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)
  1.境界型とは
  2.境界型の鑑別
  3.境界型を見出したときの取り扱い
3.治 療
 A.治療目標とコントロール指標
  1.糖尿病治療の目標
  2.コントロールの指標
 B.治療方針の立て方
  1.インスリン非依存状態
  2.インスリン依存状態
 C.糖尿病患者教育とチーム医療
  1.糖尿病患者教育
  2.自己管理行動を促進する心理・行動学的方法
  3.心理的問題の扱い方
  4.チーム医療の重要性
 D.災害への備えと災害時の対応
  1.病院・診療所・医療者レベルでの備えまたは対応
  2.糖尿病患者レベルでの備えまたは対応
  COLUMN 糖尿病に関連するわが国の団体
4.食事療法
 A.食事療法の進め方
  1.適正なエネルギー摂取量の指示
  2.バランスのとれた食品構成
 B.食事療法の実際
  1.食品交換表
  2.患者への食事指示
  3.食事療法の評価と指導
 C.合併症の予防のために
5.運動療法
  1.運動の種類
  2.運動の強度
  3.運動の頻度と負荷量
  4.運動療法指導上の注意点
  5.運動の種類と消費エネルギー
  6.運動療法を禁止あるいは制限した方がよい場合
6.薬物療法
 A.経口薬療法
  1.ビグアナイド薬
  2.チアゾリジン薬
  3.スルホニル尿素(SU)薬
  4.速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)
  5.DPP‒4阻害薬
  6.α‒グルコシダーゼ阻害薬
  7.SGLT2阻害薬
  8.配合薬
 B.注射薬療法
  1.インスリン療法
  2.インスリン以外の注射薬:GLP‒1受容体作動薬
 C.その他の薬物療法
  1.糖尿病に合併した高血圧
  2.糖尿病に合併した脂質異常症
7.低血糖およびシックデイ
 A.低血糖
  1.症 状
  2.高血糖性の昏睡との鑑別
  3.低血糖の誘因
  4.低血糖時の対応
  5.再発予防
 B.シックデイ
  1.シックデイとは
  2.シックデイ対応の原則
  3.入院加療が早急に必要な場合
8.糖尿病合併症とその対策
 A.糖尿病合併症とは
 B.急性合併症
  1.糖尿病ケトアシドーシス
  2.高浸透圧高血糖状態
  3.感染症
 C.慢性合併症
  1.糖尿病網膜症
  2.糖尿病腎症
  3.糖尿病神経障害
  4.動脈硬化性疾患
  5.糖尿病足病変
  6.手の病変
  7.歯周病
  8.認知症
  COLUMN 糖尿病と癌
  COLUMN 糖尿病予防のための戦略研究
 (Japan Diabetes Outcome Intervention 
Trial:J‒DOIT)
 D.合併症の検査
  1.急性合併症のための検査
  2.慢性合併症のための検査
9.ライフステージごとの糖尿病
 A.小児・思春期における糖尿病
  1.1型糖尿病
  2.2型糖尿病
 B.妊娠と糖尿病
 C.高齢者の糖尿病
10.専門医に依頼すべきポイント
 A.糖尿病専門医に依頼する場合
  1.血糖コントロール不良
  2.教育入院
  3.慢性合併症
  4.急性合併症
  5.手 術
 B.他科専門医に依頼する場合
  1.眼 科
  2.腎臓内科
  3.神経内科,皮膚科,外科
  4.循環器科
  5.泌尿器科
  6.整形外科
  7.精神科,心療内科
  8.歯 科
  9.感染症
 C.地域連携,病診連携
付 録
 特定健診・特定保健指導の進め方─糖尿病予防の立場から
 自己検査用グルコース測定器一覧表
 血糖降下薬一覧表
 参考書
索 引

(参考) 文光堂

「胃癌取扱い規約」によると、胃癌の壁深達度(T)については、その癌浸潤が及んだ最も深い層をもって表し、T分類で記載することになっています。一般にT1腫瘍を「早期胃癌」と呼んでいる。T1の分類を以下に示します。

T1 癌の局在が粘膜または粘膜組織にとどまるもの
T1a 癌が粘膜にとどまるもの(M) 
T1b 癌の浸潤が粘膜下組織にとどまるもの(SM)

したがって早期胃癌は、T1aのM癌とT1bのSM癌です。UICCのTNM分類では、高度異形成と上皮内癌がTisと規定されていますが、「胃癌取扱い規約」ではTisは用いず、粘膜固有層への浸潤の有無にかかわらず粘膜内癌つまりM癌と診断できるものはT1aとします。よって「胃癌取扱い規約」の病期には0期が存在しないことになります。早期胃癌は、病期1期ということになります。



解剖学的に胃壁は、粘膜(上皮、粘膜固有層と粘膜筋板)M、粘膜下組織SM、固有筋層、漿膜層(漿膜下組織と漿膜表面)の4層に区分されます。

 

がん細胞は、浸潤性発育と遠隔転移により拡大成長していきます。浸潤性発育(infiltrative growth)とは、がんが発生母地組織および隣接組織を壊しながら発育していくことをいいます。あたかも蟹が足を伸ばすように周辺組織へ侵入していくことです。

これに対して遠隔転移(metastasis)とは、がんが最初に発生した組織から遠隔組織へ転移することをいいます。がんが遠隔転移を起こしやすいい臓器には、肺、肝臓、脳、骨などがあります。がんが遠隔転移する方法には、リンパ行性転移、血行性転移、播種と3つあります。それぞれは次のような転移様式です。

(1)リンパ行性転移
がん病巣周囲のリンパ管内に浸潤→所属リンパ節転移→遠隔リンパ節転移、他臓器に波及

(2)血行性転移
腫瘍細胞の浸潤が静脈壁内に波及→静脈血とともに遠隔他臓器に着床、増殖

(3)播種(dissemination)
胸腔、腹腔などの体腔内にがん細胞が剥離脱落→漿膜面に着床して多発性転移巣を形成

このがんの広がり方を分類する方法には、TNM分類、がんの臓器別取扱規約、地域がん登録研究班による「4病期」臨床進行度分類などさまざまなものがあります。

査定医“ドクター牧野”がんの話
牧野安博
セールス手帖社保険FPS研究所
2018-06-22




早期再分極症候群(early repolarization syndrome)とは、12誘導心電図で、Ⅱ,Ⅲ,aVF誘導(下壁誘導)とⅠ,aVL,V4-V6誘導(側壁誘導)のうち、2誘導以上で1mm以上のJ波増高(notchまたはslur波形を伴う)とそれに続くST上昇を認める疾患です。これをJ波症候群(J wave syndrome)ともよびます。
2008年にHaissaguerreらが初めて疾患の概要を定義し、英国医学雑誌NEJMに報告しました。ただし、V4-V6誘導での早期再分極は良性の心電図変化(良性早期再分極)として以前から知られていました。ブルガダ症候群と同様に、特発性心室細動の1種と考えられています。
心室細動、多形性心室頻拍による突然死が主な症状です。心室細動直前 にはJ波が増高し、20%が睡眠中に発生し、27%が心室細動を繰り返す、34%において電気生理学検査で心室細動が誘発されます。

(参考)
Haissaguerre et al. NEJM 358;19, May 8, 2008


慢性骨髄増殖性疾患(D47.1)には、ICD10上で骨髄線維症と慢性骨髄増殖性疾患が含まれている。慢性骨髄増殖性疾患は、1951 年に米国のダム シェック医師が初めて提唱した疾患概念で、血液細胞の増加や 脾腫、病気がお互いに移行したりするなど、よく似た病態を示 す病気に注目して付けられた疾患名である。当時は、慢性骨髄性白血病、真性赤血球増加症(真性多血症)、本態性血小板血症、原発性骨髄線維症の4疾患であったが、2008年のWHO分類第4版ではさらに4疾患が加えられ8疾患となっている。この際に骨髄増殖性疾患から骨髄増殖性腫瘍へと疾患名称も変更された。

「造血器腫瘍診療ガイドライン2013年版」によると、骨髄増殖性腫瘍(myeloproliferative neoplasms; MPN)には以下のものがある。
  • 真性多血症(polycythemia vera; PV) 
  • 慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia;CML) 
  • 本態性血小板血症(essential thrombocythemia;ET) 
  • 原発性骨髄線維症(primary myelofibrosis;PMF) 
  • 慢性好中球性白血病(chronic neutrophilic leukemia;CNL) 
  • 慢性好酸球性白血病(chronic eosinophilic leukemia;CEL) 
  • 好酸球増加症候群(hypereosinophilic syndrome;HES) 
  • 肥満細胞症(mastocytosis) 
  • 分類不能骨髄増殖性腫瘍(myeloproliferative neoplasms,unclassifiable; MPN,U)

ICD-10上の慢性骨髄増殖性疾患(D47.1)に上記疾患すべてを含めるかどうかは、各生命保険会社の個別判断である。というのも普通保険約款に記載されている2003年版のICD-10分類とは異なるからである。



慢性腎臓病(chronic kidney disease; CKD)という疾患概念が提唱され始めて久しいが、腎機能異常つまり腎障害があると生命予後が悪くなることは周知の事実であろう。これは原因疾患の如何を問わないことが分かってきた。死亡と心血管の相対リスクは、いずれも腎機能の低下とともに増加する。特に糸球体濾過量のGFR区分がG3b以上より相対リスクが有意に上昇する。蛋白尿がないCKD患者でも、G3bの死亡リスクが2.54倍となる。大雑把に言って、超過死亡指数が+150相当となる。

人間ドックを実施している医療機関では、血液検査のクレアチニン値から推定GFRを計算している。これが腎機能の評価として役立つということだ。ちなみにCKDは、蛋白尿などの腎臓の障害もしくはGFRが60ml/分未満の腎機能低下が3か月以上持続するものと定義される。そしてG3bは、GFRが45ml/分未満である。




国際対がん連合(Union Internationale Contre le Cancer; UICC) による悪性腫瘍の進展度に関する国際的分類がTNM分類です。このTとNとMは次のことを意味します。

T(tumor)----原発腫瘍の大きさと拡がり

N(lymph node)----所属リンパ節転移の有無と拡がり

M(metastasis)----遠隔転移の有無

これらを指標として病期(ステージ)を5期(0期~4期)に分類します。各がんごとに独自の分類が定められていて、たとえばT2N1M0と記述します。これによりT2の大きさの原発腫瘍があり、リンパ節転移があるが、遠隔転移はないことが分かります。

がん保険などの給付金請求用診断書には、がんの病理組織診断名、ICD-O 3、TNM分類などを主治医の先生に明確に書いてもらうと、保険会社への請求が円滑に行えます。

注)このTNM分類と日本の学会が規定している「がん取扱い規約」のTNM分類は異なる場合があります。

査定医“ドクター牧野”がんの話
牧野安博
セールス手帖社保険FPS研究所
2018-06-22


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