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2016年08月

ICD10コードによる慢性膵炎の分類は次のとおりになります。

   アルコール性慢性膵炎      K860            
      1型自己免疫性膵炎        K861            
     2型自己免疫性膵炎        K861            
   グルーブ膵炎            K861           
   遺伝性膵炎             K861           
   自己免疫性膵炎          K861           
   特発性慢性膵炎          K861           
   慢性再発性膵炎          K861           
    慢性膵炎               K861 

一般に慢性膵炎の診断は、画像診断または組織診断により膵炎特有の所見を見ることによります。「慢性膵炎臨床診断基準2009」によると、慢性膵炎の定義は次のとおりです。

膵臓の内部に不規則な線維化、細胞浸潤、実質の脱落、肉芽組織などの慢性変化が生じ、進行す ると膵外分泌・内分泌機能の低下を伴う病態である。

膵内部の病理組織学的変化は、基本的には膵臓全体に存在するが、病変の程度は不均一で、分布や進行性も様々である。これらの変化は、持続 的な炎症やその遺残により生じ、多くは非可逆性である。

 慢性膵炎では、腹痛や腹部圧痛などの臨床症状、膵内・外分泌機能不全による臨床症候を伴うも のが典型的である。臨床観察期間内では、無痛性あるいは無症候性の症例も存在し、このような例 では、臨床診断基準をより厳密に適用すべきである。慢性膵炎を、成因によってアルコール性と非 アルコール性に分類する。自己免疫性膵炎閉塞性膵炎は、治療により病態や病理所見が改善する 事があり、可逆性である点より、現時点では膵の慢性炎症として別個に扱う。
 
ICD10と微妙なずれがあります。上記の「慢性膵炎臨床診断基準2009」の慢性膵炎は、アルコール性慢性膵炎と非アルコール性慢性膵炎(特発性、遺伝性、家族性など)であり、ただし自己免疫性膵炎と閉塞性膵炎は除外するというのが定義となるようです。

次に、慢性膵炎の診断項目として以下の6項目があげられています。

①特徴的な画像所見
②特徴的な組織所見

③反復する上腹部痛発作
④血中または尿中膵酵素値の異常
⑤膵外分泌異常
⑥1日80g(純エタノール換算)以上の持続する飲酒歴
慢性膵炎の確定診断は、上記①または②の確診所見、あるいは、上記①または②の準確診所見と③④⑤の2項目以上のいずれかが認められることとされています。すなわち①特徴的な画像所見を例にとれば、各種の画像診断検査にて、膵管内結石あるいは膵臓の石灰化が観察されれば、慢性膵炎の診断確定となります。またERCP検査の画像では、不規則な分枝膵管の拡張が観察されることがあります。






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前立腺腫瘍のICD-O3をまとめると次のとおりである。(C61-prostate gland)

Epithelial tumors
    Glandular neoplasms
        8140/3 Adenocarcinoma, NOS
            8480/3 Mucinous adenocarcinoma
            8490/3 Signet ring cell carcinoma
            8290/3 Oxyphilic adenocarcinoma
            8082/3 Lymphoepithelial carcinoma
        8572/3 Adenocarcinoma with spindle cell differentiation

    8148/2 Prostatic intraepithelial neoplasia, grade III (PINⅢ)

    8500/3 Ductal adenocarcinoma
        8260/3 Papillary adenocarcinoma, NOS
        8201/3 Cribriform carcinoma, NOS
        8230/3 Solid carcinoma, NOS

    Urotheial tumors
        8120/3 Transitional cell carcinoma

    Squamous tumors
        8560/3 Adenosquamous carcinoma
        8070/3 Squamous cell carcinoma, NOS

    Basal cell tumors
        8147/0 Basal cell adenoma
        8147/3 Basal cell adenocarcinoma

Neuroendocrine tumors
    8574/3 Adenocarcinoma with neuroendocrine differentiation
    8240/3 Neuroendocrine tumor G1 (NET G1) / Carcinoid
    8041/3 Small cell neuroendocrine carcinoma
    8680/1 Paraganglioma, NOS
    9500/3 Neuroblastoma, NOS

Prostatic stromal tumors
    8935/1 Stromal tumor, NOS
    8935/3 Stromal sarcoma, NOS

Mesenchymal tumors
    8890/3 Leiomyosarcoma, NOS
    8900/3 Rhabdomyosarcoma, NOS
    9220/3 Chondrosarcoma, NOS
    9120/3 Angiosarcoma
    8830/3 Malignant fibrous histiocytoma
    9540/3 Malignant peripheral nerve sheath tumor
    9120/0 Hemangioma, NOS
    9220/0 Chondroma, NOS
    8890/0 Leiomyoma, NOS
    9580/0 Granular cell tumor, NOS
    9150/1 Haemangiopericytoma
    8815/0 Solitary fibrous tumor

Miscellaneous tumors
    8440/0 Cystadenoma, NOS
    8960/3 Nephroblastoma, NOS
    8963/3 Malignant rhabdoid tumor

    Germ cell tumors
        9071/3 Yolk sac tumor
        9061/3 Seminoma, NOS
        9081/3 Mixed embryonal carcinoma and teratoma
        9100/3 Choriocarcinoma, NOS

    8310/3 Clear cell adenocarcinoma, NOS
    8720/3 Melanoma, NOS
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 膵臓の神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor; NET)とは、ランゲルハンス島を起源とする腫瘍細胞群の総称です。膵内分泌腫瘍(PET)、膵島細胞腫瘍、膵島細胞がん、膵カルチノイドと呼ばれる場合もあります。膵神経内分泌腫瘍(PNET)は膵臓の悪性疾患の3%~5%を占め、全般的な予後は、この腫瘍より一般的な膵外分泌腫瘍と比べてPNETは予後良好です。

特に、機能性腫瘍とよばれるホルモンを分泌する膵神経内分泌腫瘍は良性です。しかし約15%を占める非機能性腫瘍(pancreatic endocrine tumor, non-functional)の場合は、その50%が悪性です。また転移を起こした膵神経内分泌腫瘍患者の予後は不良で、余命1~3年程度です。

一般にホルモン分泌過多の症状を呈する機能性腫瘍には、次のものがあります。

  • ガストリノーマ(gastrinoma)
    膵臓と十二指腸に発生する腫瘍で、ガストリンを過剰分泌し、胃・十二指腸・小腸に潰瘍を形成します。過剰分泌されたHCLにより十二指腸に潰瘍が起こります。塩酸は、脂肪の分解を抑制します。ゾリンジャーエリソン症候群( Zollinger-Ellison syndrome)の原因です。
  • インスリノーマ(insulinoma)
    ランゲルハンス島のβ細胞から発生するインスリンを過剰分泌する内分泌腫瘍で、80~90%が単発の良性腺腫ですが、転移を伴う悪性腫瘍も5%程度存在します。膵臓の体尾部に発生することが多い。
  • グルカゴノーマ(glucagonoma)
    ランゲルハンス島のα細胞から発生するグルカゴンを過剰分泌する内分泌腫瘍です。ポリペプチドホルモンであるグルカゴンにより血糖値が上昇します。これは糖新生と脂肪分解が活性化されるからです。
  • ソマトスタチノーマ(somatosatinoma)
    ランゲルハンス島のδ細胞から発生するソマトスタチンを過剰分泌する内分泌腫瘍です。糖尿病と耐糖能異常に関係します。軽い糖尿病の他に脂肪便と胆嚢結石も見られ、膵臓の頭部に発生して悪性です。
  • VIP産生腫瘍(vasoactive intestinal polypeptide producing tumor)
    ランゲルハンス島の非β細胞から発生する血管作動性小腸ペプチドを分泌する内分泌腫瘍です。水様性下痢、低カリウム血症および無酸症を呈する症候群(WDHA症候群)を起こします。
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