疾患概念・原因
全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus; SLE)は、遺伝的要因を背景にウイルス感染などが誘因となって、抗核抗体などの自己免疫抗体を産生することによって起こる、多臓器障害性の慢性炎症性疾患です。全身性紅斑性狼瘡ともいう。抗核抗体とは、細胞の核内に含まれる多種の抗原物質に対する抗体群の総称です。SLEは膠原病の一つですが、最も著しく多彩な臓器病変を呈します。多種類の自己抗体が血液中に検出され、女性に多く男女比は1:10です。好発年齢は20歳~40歳です。
疫学・症状・経過
20歳~40歳の特に妊娠可能年齢の女性で、発熱・易疲労感・体重減少などをきたし、多彩な臓器病変を呈します。その症状として次のようなものがあります。
①皮膚・粘膜症状―顔面紅斑(蝶形紅斑:鼻の部分で細く連なっている両頬部の鱗屑性皮膚炎)、円板状皮疹、脱毛、光線過敏、口腔内潰瘍など。紅斑などは日光暴露で憎悪します。皮膚生検では真皮表皮結合部IgG沈着が認められます。
②関節症状―多発性関節炎・関節痛などが急性期によくみられますが、骨破壊を伴うことが無いのが特徴です。
③腎症状―ループス腎炎(糸球体腎炎)は約半数の症例で出現します。
④精神・神経症状―痙攣、意識障害、幻覚、妄想、躁鬱状態などが出現します。このような中枢神経症状を呈する場合は重症のケースです。
⑤心・肺症状―漿膜炎(心膜炎、胸膜炎)などがみられます。他に、間質性肺炎、細胞出血、杯高血圧症は予後不良の病態として注意が必要です。
⑥その他症状―四肢末端に起こる血流障害により指先の蒼白などがおこるレイノー(Raynaud)現象、眼底の細動脈閉塞を意味する眼底の綿花状白斑や、(急性期に)リンパ節腫脹などがみられます。続きを読む
全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus; SLE)は、遺伝的要因を背景にウイルス感染などが誘因となって、抗核抗体などの自己免疫抗体を産生することによって起こる、多臓器障害性の慢性炎症性疾患です。全身性紅斑性狼瘡ともいう。抗核抗体とは、細胞の核内に含まれる多種の抗原物質に対する抗体群の総称です。SLEは膠原病の一つですが、最も著しく多彩な臓器病変を呈します。多種類の自己抗体が血液中に検出され、女性に多く男女比は1:10です。好発年齢は20歳~40歳です。
疫学・症状・経過
20歳~40歳の特に妊娠可能年齢の女性で、発熱・易疲労感・体重減少などをきたし、多彩な臓器病変を呈します。その症状として次のようなものがあります。
①皮膚・粘膜症状―顔面紅斑(蝶形紅斑:鼻の部分で細く連なっている両頬部の鱗屑性皮膚炎)、円板状皮疹、脱毛、光線過敏、口腔内潰瘍など。紅斑などは日光暴露で憎悪します。皮膚生検では真皮表皮結合部IgG沈着が認められます。
②関節症状―多発性関節炎・関節痛などが急性期によくみられますが、骨破壊を伴うことが無いのが特徴です。
③腎症状―ループス腎炎(糸球体腎炎)は約半数の症例で出現します。
④精神・神経症状―痙攣、意識障害、幻覚、妄想、躁鬱状態などが出現します。このような中枢神経症状を呈する場合は重症のケースです。
⑤心・肺症状―漿膜炎(心膜炎、胸膜炎)などがみられます。他に、間質性肺炎、細胞出血、杯高血圧症は予後不良の病態として注意が必要です。
⑥その他症状―四肢末端に起こる血流障害により指先の蒼白などがおこるレイノー(Raynaud)現象、眼底の細動脈閉塞を意味する眼底の綿花状白斑や、(急性期に)リンパ節腫脹などがみられます。続きを読む