再生不良性貧血(aplastic anemia; AA)とは、造血臓器である骨髄の機能低下から起こる貧血をいいます。汎血球減少を来たすさまざまな疾患を鑑別診断しなければなりませんが、一部に骨髄異形成症候群や白血病へと移行するものもあります。診断基準は下記のとおりです。

 再生不良性貧血の診断基準(平成22年度改訂)
1. 臨床所見として、貧血出血傾向、ときに発熱を認める。 

2. 以下の3項目のうち、少なくとも二つを満たす。 
   ①ヘモグロビン濃度;10.0g/dl未満 
   ②好中球;1,500/μl未満 
   ③血小板;10万/μl未満

3. 汎血球減少の原因となる他の疾患を認めない。
汎血球減少をきたすことの多い他の疾患には、次のような疾患がある。
  • 白血病、
  • 骨髄異形成症候群
  • 骨髄線維症
  • 発作性夜間ヘモグロビン尿症
  • 巨赤芽球性貧血
  • 癌の骨髄転移
  • 悪性リンパ腫
  • 多発性骨髄腫
  • 脾機能亢進症(肝硬変、門脈圧亢進症など)
  • 全身性エリテマトーデス
  • 血球貪食症候群
  • 感染症
4. 以下の検査所見が加われば診断の確実性が増す。 
 1) 網赤血球増加がない。 
 2) 骨髄穿刺所見(クロット標本を含む)で、有核細胞は原則として減少するが、減少がない場合も巨核球の減少とリンパ球比率の上昇がある。造血細胞の異形成は顕著でない。 
 3) 骨髄生検所見で造血細胞の減少がある。 
 4) 血清鉄値の上昇と不飽和鉄結合能の低下がある。 
 5) 胸腰椎体のMRIで造血組織の減少と脂肪組織の増加を示す所見がある。

5. 診断に際しては、1.、2.によって再生不良性貧血を疑い、3.によって他の疾患を除外し、4.によって診断をさらに確実なものとする。再生不良性貧血の診断は基本的に他疾患の除外によるが、一部に骨髄異形成症候群の不応性貧血と鑑別が困難な場合がある。