「胃癌取扱い規約」によると、胃癌の壁深達度(T)については、その癌浸潤が及んだ最も深い層をもって表し、T分類で記載することになっています。一般にT1腫瘍を「早期胃癌」と呼んでいる。T1の分類を以下に示します。

T1 癌の局在が粘膜または粘膜組織にとどまるもの
T1a 癌が粘膜にとどまるもの(M) 
T1b 癌の浸潤が粘膜下組織にとどまるもの(SM)

したがって早期胃癌は、T1aのM癌とT1bのSM癌です。UICCのTNM分類では、高度異形成と上皮内癌がTisと規定されていますが、「胃癌取扱い規約」ではTisは用いず、粘膜固有層への浸潤の有無にかかわらず粘膜内癌つまりM癌と診断できるものはT1aとします。よって「胃癌取扱い規約」の病期には0期が存在しないことになります。早期胃癌は、病期1期ということになります。



解剖学的に胃壁は、粘膜(上皮、粘膜固有層と粘膜筋板)M、粘膜下組織SM、固有筋層、漿膜層(漿膜下組織と漿膜表面)の4層に区分されます。