成長ホルモンとは、視床下部のコントロール下に脳下垂体前葉から分泌されるペプチドホルモンの1つです。すなわち視床下部から分泌される成長ホルモン放出ホルモンの作用を受けて脳下垂体の成長ホルモン生産細胞から分泌されます。

 子どもでは、成長ホルモンは身体の発育を促進します。成長ホルモンは、肝臓からのソマトメジンの分泌を刺激します。ソマトメジンはインスリン様成長因子(IGF)に分類されるホルモン群の1つです。成長ホルモンと甲状腺ホルモンと一緒に働いて、骨の直線的成長を促します。

 大人では、成長ホルモンは筋肉における蛋白合成と脂肪組織からの脂肪酸の遊離を促します。これを同化作用とよびます。筋肉によるブドウ糖の取り込みを抑制する一方、アミノ酸の取り込みを促進します。このアミノ酸は蛋白質合成に用いられます。また筋肉は脂肪酸をエネルギー源として消費します。

 成長ホルモンは、パルス状に散発的に分泌されます。したがって成長ホルモン値を1回だけ測定するのは一般的ではありません。

 成長ホルモンは散発的に分泌されるため、成長ホルモン分泌刺激試験では数時間の間に計5回の採血が実施されます。注射器による従来の採決方法の代わりに、静脈に入れた血管カテーテルによる採血が行われます。

 この検査により、子どもの発達遅滞の原因となる成長ホルモン分泌低下症を診断することができます。また、脳下垂体腫瘍の診断にも役立ちます。

 成長ホルモンの分泌が少ないと、子どもは小人症になります。また、大人では汎下垂体機能低下症などの病気が考えられます。なお、健常人の10%が成長ホルモン分泌刺激試験で異常を示すことがありますので、この試験は繰り返し実施する方が良いでしょう。

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