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2020年07月

自然免疫(innate immunity)として働くNK細胞(natural killer cell)の機能について説明してくれています。
英語ですが、とても分かりやすいです。


NK細胞(natural killer cell)は、ウイルス感染などや腫瘍化によりMHC class I分子の発現が低下した細胞を殺傷し、自然免疫の主要因子として働く細胞傷害性リンパ球の1種です。特に腫瘍細胞やウイルス感染細胞の拒絶に重要です。形態的特徴から大形顆粒リンパ球とも呼ばれます。一般のT細胞と異なり事前に感作させておく必要がないということから、生まれつき(natural)の細胞傷害性細胞(killer cell)という意味つまり「生まれつきの殺し屋」で、NK細胞と名付けられています。
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抗NMDA受容体脳炎(anti-NMDA receptor encephalitis)は、当初「卵巣奇形腫関連傍腫瘍性脳炎」として2007年に報告されたものが始まりで、傍腫瘍性脳炎として女性に好発すると考えられていました。近年では、腫瘍の有無に関係なく60%が発症することが分かってきました。抗NMDA受容体脳炎には次の5つの特徴があります。
  1. 統合失調症様精神症状
  2. 痙攣発作
  3. 無反応・緊張病性混迷状態
  4. 中枢性低換気
  5. 奇異な不随意運動
抗NMDA受容体脳炎では、統合失調症と共通した病態が関与しています。統合失調症の精神症状は、  NMDA受容体機能低下説で説明され、NMDA受容体機能が抗体により抑制されることで、グルタミン酸作動性ニューロンやドーパミン作動性ニューロンの脱抑制状態が惹起されると考えられています。

抗NMDA受容体脳炎では、卵巣奇形腫の神経組織細胞膜上に発現している抗原が、抗原提示細胞を介して免疫応答を誘導し、CD4陽性T細胞を活性化し抗体を産生させると推認されます。 何らかの感染を契機に免疫が賦活化し、中枢神経内に侵入した抗体が共通抗原を有する海馬や前脳の神経細胞のNMDA受容体に結合し、受容体機能を障害すると考えられています。剖検例の脳では、補体の沈着は確認されていないことから、補体非依存性にNMDA受容体機能が障害されているのでしょう。

NMDA受容体は、グルタミン酸受容体の1つです。記憶や学習、また脳虚血後の神経細胞死などに深く関わる受容体と考えられています。他のグルタミン酸受容体サブタイプである AMPA受容体やカイニン酸受容体と異なり、NMDAがアゴニストとして選択的に作用します。NMDAは、N-メチル-D-アスパラギン酸のことです。 
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